IELTS(アイエルツ)のレベルやスコアの目安、試験の流れ、必要な英語力を紹介
IELTS(アイエルツ)は。イギリスで開発された海外留学や研修のための英語力を証明する評価試験です。
今回はそんなIELTS(アイエルツ)について紹介しつつ、レベルやスコアの目安、実際の試験の流れ、勉強方法などを紹介していきます。
IELTS(アイエルツ)とは?
IELTS(International English Language Testing System)は、ケンブリッジ大学英語検定機構やブリティッシュ・カウンシルなどによって共同運営されている国際英語試験の一つです。
英語4技能のテストで留学用と移住用の2タイプがあり、それぞれ試験の対象者は異なります。
イギリスやカナダ、ニュージーランドなどの留学や移住で主要となる国で認められているので、英語力を証明するためのグローバルなスタンダードテストとして受験する人が増えています。
欧米諸国ではメジャーな試験ですが、最近は日本でも受検者数が伸びています。
バンドスコアで自身の英語力を証明できる
テストといっても合否を判定する試験でなく、バンドスコアにより自分の英語力を証明する検定という位置づけとなっています。
たとえば、私もオーストラリアに留学を決めるまでは知らなかったのですが、日本であれば英検やTOEICで英語力を証明するのがスタンダードであっても、オーストラリアではIELTSが英語レベルの証明となります。
IELTSを英語力の判断基準としている学校や国ではTOEICスコアは重要視されない事もあり、それぞれに必要なIELTSスコアが明記されてます。
具体的に留学や移住を希望するところのスコアを事前にチェックし、そのスコアをクリアできるように英語学習を進めていきましょう。
IELTSの試験の内容や流れについて
IELTSの試験は留学を希望する人向けのアカデミックモジュールと、英語圏で就職や移住を希望する人向けのジェネラルモジュールがあります。
試験内容は異なる項目もありますが、構成は同じでリスニングとリーディング、ライティング、スピーキングの4項目となっています。
スピーキング以外はすべて記述で回答するため、文法やスペルの正確性も求められるのでしっかり対策をしておかなくてはいけません。
リスニング試験の内容
リスニングの所要時間は40分で、最初の30分で問題を聞き、残りの10分で回答するという構成になっています。
試験内容は4つのセクションに分れていて、日常的な会話問題、日常生活の説明問題、学術的内容の会話問題、学術的内容の説明問題のセクションから、40問出題されます。
アクセントは、正確な発音をするイギリス英語だけでなく、くだけたスラングを話すアメリカ英語なども盛り込まれているので、いろいろな地域のスピーカーを聞き取れるようにしておくことがハイスコアを獲得するポイントです。
リーディング試験の内容
リーディングの所要時間は60分で、試験内容はアカデミックとジェネラルで分れています。
3つのセクションで構成されているという点は同じですが、アカデミックは書籍や雑誌、専門誌、新聞などから抜粋した文章、ジェネラルは公的文書や企業のハンドブック、広告などから抜粋された文章から出題されます。
文章のワード数は2,200文字から2,800文字程度ですが出題範囲が広いため、普段からいろいろな書面を読んで、それぞれの媒体の文章構成に慣れておく必要があります。
ライティング試験の流れ
ライティングの所要時間は60分で、2つのタスクを回答するという構成になっています。
アカデミックのタスクテーマは表やグラフなど視覚的資料で、テーマのポイント説明とその資料から読み取れる主張や問題についてのエッセイを作成する内容です。
ジェネラルのタスクテーマは日常のシチュエーションで、テーマに対する手紙やメールの作成、自分の意見や議論のエッセイを作成する内容となります。
タスク1は150語以上、タスク2は250語以上と文字数の指定があるので、決められた文字数で分かりやすい説明や意見を作成できるように練習をしておきましょう。
スピーキング試験の流れ
スピーキングの所要時間は厳密に決まっていませんが、10分から15分程度となります。
アカデミックもジェネラルも共通した試験内容で、3つのセクションから構成されています。
試験は面談形式となっていて、試験官が自己紹介をした後に受験者が自己紹介をするセクション、タスクカードのトピックに沿って意見を述べるセクション、トピックに関するディスカッションをするセクションの順番で行なわれます。
試験の時間は短いですが、英会話スキルが試されるので正確に聞き取る力と正確に発音する力を鍛えること、そしてスムーズな会話ができるようになるための対策が必須です。
IELTSスコアやレベルの目安、評価について
普通の試験では正解数に応じて点数が加算され、最終的な合計点で合否が決まりますが、IELTSは0.5刻みのバンドによりスコアに幅を持たせた「バンドスコア」によって英語レベルが決まります。
一般的な試験とはまったく違う方法で評価されるので、これからIELTSにチャレンジするという方はスコアや評価方法について知っておくことも大切です。
IELTSにおける満点は9.0
IELTSのバンドスコアは1.0から9.0まで設定されているため、満点と同じ意味合いになるのは9.0スコアとなります。
成績証明書には、各パートのバンドスコアと総合評価であるオーバーオール・バンドスコアが記載されます。
ただし、9.0というのは相当な英語レベルであり、ネイティブであっても取りづらいスコアといわれています。
実際、筆者が留学していた語学大学でも9.0スコアの人はいませんでした。
学校や国が求めるスコアレベルは概ね6.0に設定されていますから、何らかの目標がある方を除き、留学や移住のためであっても9.0を目指す必要はないでしょう。
IELTSスコアの評価方法
総合評価であるオーバーオール・バンドスコアは4つのセクションの平均点で決まります。
スピーキングとライティングでは採点ポイントによりスコアが算出され、リスニングとリーディングでは正解数に応じたスコアが算出されます。
ただし、セクションによっては0.5刻みのスコアにはまらないことがあります。
その場合は、算出されたスコアに一番近いバンドスコアになります。
たとえば6.125はオーバーオール・バンドスコアが6.0に切り捨てられますし、6.775であれば7.0という評価方法になることを覚えておきましょう。
ちなみにIELTSではテスト結果に納得がいかなかったり、評価に疑問があったりする場合は再採点を申請できます。
IELTSスコアごとの英語レベル
IELTSテストを受ける場合は対策が必要ですが、目的のIELTSレベルと今の自分の英語レベルを把握していないと適切な学習ができません。
ここではIELTSスコアごとの英語レベルを紹介するので、IELTSでの自分のレベルはどの程度なのか、目標とするレベルはどれぐらいの英語力なのかをチェックしましょう。
※0.0は非受験者レベルとなるので記載していません。
1.0~1.5のレベル
簡単な英単語をいくつか理解しているが、英語を使用するレベルではない。
初めて英語を習う小学生レベルとなる。
2.0~2.5のレベル
慣れたシチュエーションであれば、英単語の意味を伝えたり理解したりすることはできるレベル。
ただし、英会話でのコミュニケーションは不可能で、会話からの英単語や文章の理解はできない。
3.0~3.5のレベル
限定されたシチュエーションであれば、片言の英語を駆使することは可能。
ただし、英語での会話は断片的で、コミュニケーションが途切れがちになる。
4.0~4.5のレベル
慣れた状況であれば、基礎英語で習うレベルの英単語や文法を使ってコミュニケーションを取ることはできる。
難しい英単語は理解できないため、間違った解釈をしたり誤解したりすることが多い。
5.0~5.5のレベル
完ぺきではないものの、ある程度の日常会話であれば英語で伝えたり理解したりできる。
自分にとって慣れた状況や専門分野であれば、基本的なコミュニケーションは可能だが、たまに間違うこともある。
6.0~6.5のレベル
若干間違うことはあるものの、習得した英単語や文法などを使ってコミュニケーションが取れる。
状況によって変わるが、英語をうまく使えるので海外旅行や観光では困らない程度のレベルとなる。
7.0~7.5のレベル
不正確さや言い間違い、誤解などが生ずることはあるものの、一般的な英語でのコミュニケーションに問題はない。
特に専門的な分野であれば、高度な英単語や文法も理解できる。
8.0~8.5のレベル
ネイティブよりは不正確であるとしても、ほぼ自由に英語を使いこなすことができるレベル。
不慣れなシチュエーションでは間違うことがあるかもしれないが、会話や議論をするのには問題ない。
9.0のレベル
正確かつ適切な理解力があり、自由自在に英語を使える。
基本的に、4技能すべてのセクションのレベルがネイティブと遜色ないスキルを持っている。
IELTSと他の英語検定のレベル比較表
前項では、バンドスコアレベルごとの英語力を紹介しましたが、TOEICや英検などを受けたことがある場合は、スコア換算で自分のレベルがより正確に把握できます。
IELTSから公式なスコア換算は発表されていないものの、英語検定結果の統計や発表スコアなどあらゆるデータに基づいたスコア換算が出されています。
目安でしかありませんが、IELTSの難易度も分かるのでチェックしておきましょう。
IELTS スコア | TOEFL iBT | TOEIC | 英語検定 |
---|---|---|---|
9.0 | 118~120 | – | – |
8.5 | 115~117 | – | – |
8.0 | 110~114 | – | – |
7.5 | 102~109 | 970~990 | – |
7.0 | 94~101 | 870~970 | 1級 |
6.5 | 79~93 | 820~870 | – |
6.0 | 60~78 | 740~820 | 準1級 |
5.5 | 46~59 | 600~740 | – |
5.0 | 35~45 | 550~600 | 2級 |
4.5 | 32~34 | 500~550 | – |
4.0 | ~31 | 450~490 | 準2級 |
3.5 | – | 300~440 | – |
3.0 | – | 291~299 | 3級 |
2.5 | – | 270~290 | – |
2.0 | – | 260~269 | 4級 |
1.5 | – | 100~259 | 5級 |
なお筆者はTOEICは一番上の970点ですが、IELTSのスコアは7.0となっています。
表で順当にいけば7.5を取れそうですが、実際は取れていないので表は本当に目安程度に考えていただければと思います。
IELTS(アイエルツ)は他の英語検定よりも難易度が高い
IELTSは難易度が高いと言われますが、その理由は2つあります。
アカデミックイングリッシュが多用されるから
1つめは、問題にアカデミックイングリッシュが多用されることが挙げられます。
アカデミックイングリッシュは学術的な英語という意味ですが、簡単に言うと大学の講義や論文、討論などで使われる文法や英単語が使われる英文(英会話)です。
日本語でも講義や論文などは、専門外だと理解できないのですから、英語となるとより難しくなってしまうのも当然です。
もちろん法律や医学のような専門用語は出てきませんし、ある程度内容を絞った問題になりますが、それでもアカデミックイングリッシュは幅広いので勉強する範囲を決めるのは困難です。
ポイントを絞りながら専門的な英語を網羅できるように勉強しなくてはいけないので、独学でハイスコアを狙うのはかなり難しいのが実情でしょう。
4技能の試験を1日で全て行うから
2つめの理由は、4技能の試験を1日で行なうことが挙げられます。
各セクションの所要時間は60分×2、40分、約15分となっています。休憩を挟むものの、実に3時間強の長丁場となります。
これだけ長い時間、試験に集中しなくてはいけないというのは正直かなりきついです。
そのため、目標を達成するには相応の努力をするか、IELTSの対策をしている英会話スクール、オンライン英会話などを利用して効率よく問題が解けるコツを学んでおく必要があります。
ハイスコアを取るなら英会話スクールの利用も検討するべき
IELTSは難易度が高いのは覚えなくてはいけない英単語の範囲が広かったり、他の英語検定とは試験内容が異なったりするからです。
そのため、試験対策に特化したレッスンが受けられる英会話スクールに通うことで、無駄に勉強範囲を広げる必要もなく、効率よく目標とするIELTSスコアに到達できます。
独学では絶対ハイスコアを取れないということはありませんが、無駄に勉強をしたくない、時間を有効に使いたいという方は英会話スクールの利用も検討してみるのがおすすめです。
IELTS(アイエルツ)対策におすすめの英会話スクール
シェーン英会話
シェーン英会話は、講師は全員イギリス系のネイティブスピーカーとなっておりIELTS対策コースもあるので、まさにIELTS対策に最適の英会話スクールです。
レッスンはすべて英語で行なわれますが、初級から準中級、中級から上級というようにレベルが分けられているので、初心者から上級者まで「英語を英語で理解する」という英語脳を自然に育てることができます。
IELTS対策コースの講師はハイスコア取得者で、余計なディスカッションは挟まず、出題解答形式でレッスンを進めていきます。
リスニングとスピーキング、リーディング、ライティングの演習を行なうので、4技能すべてのスキルをバランス良くアップしたいという方におすすめです。
また、1週間ごとにテーマに合わせた語彙を覚えながら、曜日ごとの学習予定に沿って進めていくセルフスタディも併せて行なうので、レッスンがない日でもしっかりIELTS対策ができるのも魅力です。
公式サイト:https://www.shane.co.jp/
ベルリッツ
ベルリッツは、効果が実証されているベルリッツ・メソッド「イマージョン型学習法」を採用し、短期間で自分が求める英語レベルを習得できる英会話スクールです。
IELTS対策に特化したコースはありませんが、IELTSでハイスコアを取得した講師が多数在籍しているので、自分が目指すIELTSレベルに合わせた学習スタイルを設計してもらえます。
また、ベルリッツでは言語学習だけではなく異文化を理解するレッスンを組み合わせているので、アカデミックイングリッシュの習得や実際に海外で暮らした時のシチュエーションに近い体験をするというスタイルでIELTS対策ができるのもメリットです。
就活・留学準備コースであれば、コミュニケーションスキルの向上はもちろん論文や資格試験対策のためのプログラムになっていますから効率的に英語力を伸ばせます。
IELTS(アイエルツ)のレベルやスコア、試験まとめ
英語力を証明する試験はTOEICやTOEFLなどが有名ですが、近年はIELTSのスコアを評価基準とする学校や国が増えています。
IELTSは難易度が高いため、明記されているスコアをクリアするには、試験内容をしっかり把握して、それぞれの試験構成に合わせた対策を行なわなくてはいけません。
自分だけで対策を進めるのが難しいと感じたら、無理をせずに英会話スクールなどを利用して、効率よくハイスコアを狙える学習方法を取り入れていくのが正解です。