サイトラとは?やり方や効果、おすすめの教材を紹介
サイトラ(サイト・トランスレーション)は、速読スキルをアップする学習方法で、一般的には通訳を目指す人のために開発されたトレーニングです。
しかし、最近はリーディング力のアップやTOEFLなど英語資格を取得するためなど、一般の英語学習にも取り入れる人が増えています。
今回はそんなサイトラ(サイト・トランスレーション)について解説しつつ、やり方や効果、おすすめの教材などを紹介していきます。
サイトラ(サイト・トランスレーション)とは
サイトラというトレーニング法を簡単に説明すると、「英文を見て(聞いて)語順通り日本語に訳していく」というシンプルな学習方法です。
サイトラを初めて耳にする方は、どんなトレーニングか想像がつかないかもしれませんが、正式名称のサイトトランスレーション(sight translation)と聞けば、「見て、翻訳する」ということなので何となくイメージ出来るかもしれません。
ポイントとなるのは、「語順通り」の部分です。一般的に、英文を日本語に訳す場合は、英文の語順を日本語の語順に直します。
たとえば、「I watched TV yesterday.」を普通に訳した場合、「私は昨日テレビを観ました」となりますが、サイトラでは「私は観たテレビを昨日」というように、英語の語順通り訳すのです。
長文の場合でも、チャンク(意味のかたまり)ごとに区切って、そのままの語順で訳すのですが、このトレーニングをすることで素早く会話の内容を理解したり、即座にレスポンスができたりするようになります。
サイトラ(サイト・トランスレーション)のやり方を紹介
サイトラのやり方はとてもシンプルです。
- 英文を用意する
- センテンスのかたまりごとに区切る
- かたまりごとに意味を和訳する
- 区切る間隔を長くしていく
これだけだと、何をどうすれば良いのか分からないかもしれないので、以下で詳しく説明していきます。
自分の英語レベルにあった英文を用意する
まずは、自分の英語レベルにあった英文を用意してください。
英文はサイトラ用ではなく、普段使っている教材から引用しても大丈夫です。
ただし、意味がまったく分からないものではトレーニングにならないので、単語も文法も理解できる英文を選びましょう。
ここでは、誰でも分かるように初級者レベルの英文を例文として使っていきます。
「I was watching TV last night when I got the call from you.」
中級者以上の方であれば、何も考えなくても訳せるかもしれませんが、「昨日の夕方あなたから電話があった時、私はテレビを見ていました。」と訳してしまうのはサイトラにはなりません。
「サイトラとは」で説明したように、語順通り訳すのがトレーニングとなるので、中級者以上の方はすぐに訳せる英文ではなく、ワンランク上の文を用意してください。
かたまりごとに区切る
次に上記の例文を、かたまりごとにスラッシュを入れて区切っていきます。
かたまりの長さは英語レベルによって異なりますが、あまり長くしてしまうと難しいため、最初は間隔を狭く区切りましょう。
「I was watching TV/ last night /when /I got the call /from you.」
区切る部分を決めるのが難しいかもしれませんが、慣れるまではかたまりだけで意味が理解できることを目安にするといいでしょう。
やたらと短くしたり長くしたりすると、直訳ができても意味が分からなくなってしまいます。
英文を区切るのは、訳すだけではなく自分が端的に理解することも目的となっているので、そこを意識してスラッシュを入れてください。
かたまりごとに和訳する
英文を区切ったら、つぎはかたまりごとに和訳をしていきます。
英文をかたまりごとに訳すと下記のようになります。
「私はテレビを観ていた/昨日の夜/時/電話があった/あなたから」
日本語の文法としてはめちゃくちゃですが、意味は理解できると思います。
私も最初は違和感がありましたし、日本語の文法に当てはめる思考回路がなかなか抜けませんでした。
しかし、とにかくかたまりと直訳だけを意識して練習を続けていたら、だんだんと冒頭で理解することが癖付けられ、リーディングやリスニングのスキルが大幅にアップしました。
区切る間隔を長くしていく
区切って訳すことに慣れてきたら、区切る間隔を長くしていきましょう。
「I was watching TV last night /when I got the call /from you.」
私は昨日の夜テレビを観ていた/電話があった時/あなたから
瞬間的に頭の中で理解できる単語が増えると、英文を日本語の文法に直すという過程を自然に省けるようになるので、これがリーディング力のアップや英語での会話をスムーズにしてくれます。
サイトラ(サイト・トランスレーション)の効果
英文を訳すというのは英語の授業でもやることなので、同じく訳すトレーニングをするサイトラに特別な効果があるとは思えないという方もいるかもしれません。
しかし、一般的な英語のレッスンでは正しい文法で自然な日本語に訳すトレーニングをします。
サイトラは自然な日本語の訳文を作ることは目的としていないため、その部分で他の学習方法とは異なる効果が得られるのです。
英語のインプット量が増える
実は、サイトラを行なうと英語のインプット量を増やす効果があるのです。
やることは英文を訳すだけですが、学校や塾などで教わる和訳と違い、ネイティブと同じように英文を理解していくことで英語を吸収しやすくなります。
日本式の和訳では1度英文をリセットしてしまうため、英語がスムーズに入ってきません。
これが英語に対するブロックとなるのですが、サイトラを繰り返し練習するとブロックが外れて今まで以上に英語の吸収力がアップします。
また、リスニング力や読解速度が上がることで多くの英文に触れられるようになったり、理解力に自信がついたりすることで英語の情報量が増え、その結果インプット量のアップにつながるのです。
英文の読解スキルがアップする
日本における英語の勉強法は、英文を最後まで読まないと内容が理解できません。
これは、日本の文法に英語を当てはめるという訳し方をするからです。
しかし、サイトラは冒頭からどんどん訳して意味を理解していきます。
英語は「伝えたいことや大事な情報を文の最初に持ってくる」というロジックなので、冒頭から訳すことで英文の内容をある程度予測できますし、最後まで聞いてから文章全体をまとめるクセもなくなります。
そのため、今までよりも早く英文を読み解けるようになるのです。
ネイティブ英語をリスニングできるようになる
リスニングする場合、冒頭から意味を理解していく必要があります。
サイトラのトレーニングを続けていれば、自然と英語の文法通りに読み進める、もしくは聞き取れるようになっていくのでネイティブ英語をリスニングできるようになります。
ネイティブ英語は早くて聞き取れない、という苦手意識を持っている人が多いようですが、文章の頭から訳すクセがついていればそこまで難しいものではありません。
サイトラは英語の語順に従って理解する英語脳を鍛えられるので、リスニング力も自然とアップしていくのです。
サイトラ(サイト・トランスレーション)に活用できるおすすめの教材
サイトラは、英語のネットニュースや映画、動画のスクリプトでもトレーニングできますが、
慣れるまではスラッシュを書き込んで練習をした方が効率が良いので、教材を活用するのがおすすめです。
教材であれば、自分の英語レベルに合わせたものを選べるので学習効率もアップします。
ここでは、サイトラに特化した教材を紹介するので、選ぶときの参考にしてみてください。
英語スラッシュリスニングトレーニング
英語スラッシュリスニングトレーニングは、プロの通訳メソッドを取り入れた教材です。
テキストにもCD音声にもセンテンスのかたまりごとにスラッシュが入っていて、語順にそって意味を理解しながらリスニングを進めるので、サイトラのやり方が分からなくても自然と英文の基本的な組み立てパターンを習得できます。
英文は英語のニュースなどが盛り込まれているため難易度は少し上がりますが、アカデミックな内容なので語彙力のアップも期待できるテキストです。
スーパーエルマー
スーパーエルマーは、日本語の文法に合わせて訳す返り読みの習慣を取り除くプログラムで、リスニングを中心にした学習メソッドです。
英語音声を意味のまとまりごとに区切ってあり、区切りごとに日本語の同時通訳が入っているHop、日本語訳の部分が無音になっているSkip、区切りがなく通しで英語
を聴くJumpの3ステップで学習を進めることで、無理なくサイトラを修得できるのが魅力です。
教材はニュース英語なので、正しい発音や文法、多様な語彙を身につけることもできます。
BBC WORLD英語リスニングサイトトランスレーション
BBC WORLD英語リスニングサイトトランスレーションは、サイトラのやり方や意味などが丁寧に解説されているので初心者におすすめの教材です。
テキストのレイアウトも見やすく、訳しにくい英文や言い回し、固有名詞の説明も記載されているので、しっかりと意味を理解しながら学習が進められます。
基本的にはニュースが題材ですがイギリスの生活やハリウッドの話題などウイットに飛んだ内容もあるので、飽きることなく学べるのもおすすめポイントです。
英検の問題集
TOEFLやTOEICなどの試験対策でサイトラをするのであれば、英検の問題集を教材に使うという方法もあります。
英検の問題集には長文を題材にしているものがあるので、語順通り訳すというサイトラのメソッドを取り入れれば、試験対策と同時にリーディング力やリスニング力を強化できます。
スクリプトが見られる動画サイト
テキストに書かれている英文であれば、ある程度まで訳せるという英語力を持っている方は、スクリプトが見られる動画サイトを教材に使うといいでしょう。
動画サイトにはテキストがないため、よりリスニングに集中できることで学習効果がアップします。
いろいろな分野のプレゼンを聞けるTEDやイギリス、アメリカのニュース番組、スクリプトが付いているYouTube動画などを活用すれば、高度なリスニングのサイトラができます。
サイトラ(サイト・トランスレーション)のやり方や効果についてのまとめ
サイトラは、とても簡単に始められるうえに、日本人が苦手といわれるリスニング力を効率よくアップしてくれるトレーニングです。
ただ、授業や一般的な参考書で学ぶ和訳とはやり方が異なりますし、教材の英文レベルが低すぎたり高すぎたりすると効果が出にくいかもしれません。
サイトラの効果を早く得たい方は、対応しているオンライン英会話などで学んで、慣れたら自分でトレーニングを進めるというスタイルもおすすめです。
DMM英会話などは10,000を超える教材が無料で利用でき、実際に外国人講師とレッスンができるので、サイトラの練習をしたいと伝えてみるのも良いでしょう。
DMM英会話:https://eikaiwa.dmm.com/